Excelでマイナスの数値をプラスに変えたいときは、ABS(エービーエス)関数を使います。
例えば「帳簿上の在庫と実際の在庫が何個ずれているかを知りたい」「売上予測と実績の差を、プラス・マイナスに関係なく比較したい」という場合には、ABS関数を使う方法があります。
この記事では、ABS関数の基本的な使い方と絶対値の考え方、実際の仕事での使用例を紹介します。また、数値に-1を掛ける方法との違いや、正負を調べるSIGN関数との使い分けについても説明します。
数値をサイト上で変更して計算結果を確認できるABS関数の体験教材もあります。
ABS関数でできること
帳簿上の在庫は100個なのに、棚卸しで数えた実際の在庫は75個だった。
実際の在庫から帳簿上の在庫を引くと、差は-25個になる。
その場合、不足か超過かとは別に、差の大きさを25個として確認したい。
これを、ABS関数で下記のように計算できます。
=ABS(75-100)
結果は 25 です。
このように、元となる値を指定することで、数値の符号に関係なく、**絶対値(0からの距離)**を求めることができます。
今回の場合、75から100を引いた結果の-25をABS関数で計算するため、マイナス記号を除いた25になります。実際の在庫が125個なら、差は25個で、ABS関数の結果も25です。
ABS関数の基本的な使い方
ABS関数の書き方と1つの引数
基本の書き方は、次のとおりです。
=ABS(数値)
| 引数 | 必須・任意 |
|---|---|
| 数値 | 必須 |
- 数値:絶対値を求めたい数値です。
-25のように直接数値を指定することも、A1のようにセルを指定することもできます。
例えば、A1に -25 を入力し、別のセルに =ABS(A1) と入力してEnterキーを押すと、25 が表示されます。
ABS関数は、数値の絶対値を求める関数であり、-25のマイナス記号を除いた数値は25となるためです。
絶対値とは?
絶対値とは、数値が0からどれだけ離れているかを表す値です。
例えば、-5 も 5 も、0からの距離は5なので、絶対値はどちらも5です。
=ABS(-5) → 5
=ABS(5) → 5
負の数は正の数に変わり、正の数はそのままです。0は0です。
ABS関数の早見表
正の数・負の数・0を指定した場合の早見表
数値の違いによって、ABS関数の結果は次のようになります。
| 数値 | 数式 | 結果 |
|---|---|---|
| -100 | =ABS(-100) |
100 |
| -25 | =ABS(-25) |
25 |
| -1 | =ABS(-1) |
1 |
| -0.5 | =ABS(-0.5) |
0.5 |
| 0 | =ABS(0) |
0 |
| 0.5 | =ABS(0.5) |
0.5 |
| 1 | =ABS(1) |
1 |
| 25 | =ABS(25) |
25 |
| 100 | =ABS(100) |
100 |
ABS関数は、負の数だけを正の数に変えます。
正の数はそのままで、0を指定した場合も0です。また、-0.5 が 0.5 になるように、小数も扱うことができます。
2つの数値の差をプラスで求める方法
ABS関数の中で引き算をすると、2つの数値の差の大きさを求めることができます。
例えば、A1に帳簿上の在庫 100、B1に実際の在庫 96 が入力されている場合は、次のようにします。
=ABS(B1-A1) → 4
先に B1-A1 の計算で-4を求め、その結果にABS関数を使って4にします。
B1の数値を変更した場合は、次のようになります。
| 帳簿上の在庫(A1) | 実際の在庫(B1) | 差(B1-A1) | ABS関数の結果 |
|---|---|---|---|
| 100 | 96 | -4 | 4 |
| 100 | 104 | 4 | 4 |
| 100 | 100 | 0 | 0 |
実際の在庫が少なくても多くても、差が4個なら結果は4です。2つの数値が同じ場合は0になります。
このように、不足・超過の方向ではなく、差がどれだけあるかを知りたいときに使えます。
ABS関数は仕事でどう使う?3つの実用例
実際の仕事では、「日程変更で予定日が何日動いたかを確認する」「売上予測の誤差を比較する」「基準寸法からのずれを求める」といった用途があります。
ここでは、正負の方向に関係なく、差の大きさを確認したい場合の具体例を紹介します。
日程変更で予定日が何日動いたかを求める(工程・日程管理)
例えば、ある作業の予定日が 2026年11月11日 から 2026年11月9日 に変更されたとします。
前倒しか延期かに関係なく、予定日が何日動いたかを計算で出したい場合は、セルA1に変更前の予定日 2026/11/11、B1に変更後の予定日 2026/11/9 を日付として入力し、
=ABS(B1-A1) → 2日
とします。結果のセルの表示形式は、「標準」または「数値」に設定します。
変更後の予定日から変更前の予定日を引くと-2ですが、ABS関数を使うと、変更幅である2を求めることができます。
変更後の予定日が11月13日なら2日の延期になりますが、ABS関数の結果は同じく2です。作業ごとの日程変更の大きさを比較したい場合に使えます。
ここで求めるのは、土日も含めた日数です。
売上予測と実績の誤差を求める(売上予測・実績管理)
例えば、ある日の売上予測が100,000円で、実際の売上が97,000円だったとします。
予測を上回ったか下回ったかに関係なく、予測と実績の差の大きさを確認したい場合は、
=ABS(97000-100000) → 3,000円
となります。
97,000円から100,000円を引くと-3,000円ですが、ABS関数では3,000円という誤差の大きさを求めます。
実際の売上が103,000円でも、予測との差の大きさは3,000円です。日ごとや商品ごとに、予測と実績の差の大きさを比較するために使えます。
基準寸法からのずれを求める(製造・検品)
例えば、加工する部材の基準寸法が 100mm で、実際に測った寸法が 98mm だったとします。
長いか短いかとは別に、基準から何mmずれているかを確認したい場合は、
=ABS(98-100) → 2mm
となります。
98から100を引くと-2ですが、ABS関数を使うと、ずれの大きさである2を求めることができます。
実測値が102mmだった場合も結果は2です。基準より大きいものと小さいものを、ずれの大きさで比較できます。
数値を変えて絶対値を体験しよう
ここまでの説明を見て、なんとなくはわかっても実際にやってみないと分かりにくい部分もあるかと思います。
ABS関数ビジュアライザー(無料・登録不要)では、サイト上で数値を変更しながら、計算結果を確認できます。
初期状態では、B2に -25、C2に結果 25 が入っています。
例えば、次のように変更してみてください。
- B2を
-50にして、結果が50になることを確認する。マイナス記号を除いた結果です。 - B2を
50にして、結果が50のままであることを確認する。正の数はそのままです。 - B2を
-0.5にして、結果が0.5になることを確認する。小数でも同じように絶対値を求められます。 - B2を
0にして、結果が0になることを確認する。0は0のままです。
特に1と2では、数値の正負を変えても、絶対値は同じになることを確認してみてください。
ABS関数を使うときの注意点
正の数や0はどうなる?
ABS関数は、負の数を指定した場合は正の数に変えますが、正の数を指定した場合はそのままです。
0を指定した場合も0のままです。
-1を掛ける方法とは何が違う?
数値に-1を掛けても、マイナスの数値をプラスに変えることができます。
ただし、-1を掛ける方法は、数値の正負を反転します。元の数値が正の数なら、結果は負の数になります。
例えば、セルA1の数値を計算した場合は、次のようになります。
| 数値(A1) | ABS関数で計算(=ABS(A1)) | -1を掛ける(=A1*-1) |
|---|---|---|
| -25 | 25 | 25 |
| 25 | 25 | -25 |
| 0 | 0 | 0 |
ABS関数なら、元の数値が正の数でも負の数でも、結果は0以上の値になります。
マイナスの数値だけでなく、プラスの数値も混在している表では、この違いに注意しましょう。
差の大きさだけでは不足・超過は判断できない
ABS関数を使うと、元の数値のプラス・マイナスの情報はなくなります。
例えば、在庫差異の -4 と 4 は、ABS関数ではどちらも4です。その結果だけでは、在庫が4個不足していたのか、4個多かったのかを判断できません。
不足か超過かも確認したい場合は、引き算した元の差も、ABS関数の結果とは別の列に残しておくと分かりやすいと思います。
小数点以下は丸められない
ABS関数は、数値の符号を除く関数です。小数点以下の切り捨てや四捨五入は行いません。
=ABS(-12.34) → 12.34
桁数を指定して四捨五入する方法について詳しくは、Excelで小数点・10の位・100の位を四捨五入する方法|ROUNDも参考にしてください。
セルの表示形式を変えるだけでは数値はプラスにならない
Excelでは、セルの表示形式でマイナス記号を表示しないようにすることもできます。ただし、見た目上は数字が変わっても、セルに保存された元の数値はそのままです。
例えば、セルA1に -25 が入力されている場合、ユーザー定義の表示形式を 0;0 にすると、画面上は 25 と表示されます。
しかし、元の数値は -25 のままなので、そのセルを使った計算でも-25として扱われます。
表示形式による見た目の変更と、ABS関数による実際の計算結果の変更は別ということです。
SIGN関数との違い
SIGN関数は、数値が正の数か、0か、負の数かを調べる関数です。
例えば、次のような結果になります。
| 数値 | ABS関数の結果 | SIGN関数の結果 |
|---|---|---|
| -25 | 25 | -1 |
| 0 | 0 | 0 |
| 25 | 25 | 1 |
ABS関数は符号を除いた大きさを返し、SIGN関数は正の数なら1、0なら0、負の数なら-1を返します。
差がどれだけあるかを知りたいならABS関数、差がプラスかマイナスかを調べたいならSIGN関数、と考えると分かりやすいと思います。
SIGN関数で数値のプラス・マイナス・0を判定する方法について詳しくは、Excelで数値のプラス・マイナス・0を判定する方法|SIGN関数の使い方も参考にしてください。
まとめ|ABS関数は数値の符号に関係なく絶対値を求めたい場合に使う
ABS関数は、=ABS(数値) と書き、負の数を正の数に変えることができます。正の数はそのままで、0も0のままです。
引き算した結果に使えば、在庫数の差や売上予測の誤差、基準寸法からのずれなどを、正負に関係なく比較できます。
不足・超過の方向も必要な場合は、引き算した元の差を残しておきましょう。
実際の結果をさくっと確認したいときは、ABS関数ビジュアライザーで数値を変えながら確認してみてください。
数値を扱うほかの関数も確認したい場合は、数値・丸め・順位のカテゴリも参考にしてください。
